銀座数寄屋通り法律事務所[旧 中島・宮本・溝口法律事務所] >HOME

弁護士 宮本 督

エッセイ:
to be a Rock and not to Roll

2002.01.15

築地で朝ご飯

 早朝は仕事が進む。そんなわけで、私は、朝が早い。しかし、仕事がはかどるという理由だけでは、冷え込みのきつい朝6時前に起きられるものでもない。酒を飲まない夜はほとんどないこともあって、ベッドからはい出す苦労は並大抵のものではない。それなりの動機付けが必要だ。そこで、私は、築地市場での朝食を早起きのモチベーションにしている。うまい飯が食える、早く起きなきゃ、ということだ。
 私の住まいから事務所への通勤ルート上に築地市場がある。起きてシャワーを浴びると、すぐに、都営大江戸線で築地市場駅へ。出口の階段を上がると、そこが築地市場だ。市場での競りに参加することはできなくても、場内へは誰でも入ることができる(と思い、私は勝手に入っている)。魚介専門店を覗くと、所狭しと活きのよい魚や貝が並べられ、築地が「都民の台所」であることを実感する。ただ、市場は荷物が優先らしい。ぼやぼやしているとリヤカーや自転車やターレットと呼ばれる三輪車にひき殺されそうになる。ぼけーっと突っ立っていると「おーい。ちょっとどいてー」と大声をかけられた。魚屋の他、包丁等の道具屋、かつお節屋、卵焼き屋、乾物屋、漬け物屋、定食屋、寿司屋など、さまざまな小売店や食堂が居並ぶ。ちなみに、牛丼の「吉野屋」1号店もここにある。荒っぽいお兄ちゃん達とオッサン達の声。驚くほどの活気と躍動感に満ちあふれ、気分が高揚してくる。どこの国かとも思う。とにかく、けたたましくて騒々しい。市場外も、大通りに面したまぐろ丼屋、ソバ屋、ラーメン屋は、朝食をとる皆々様で活況。路地に入ると、青果店、鮮魚店、漬物店などから威勢のいい声が飛び交う。
 そして、私は、ジャンパーに長靴というスタイルの「プロ」の皆様に混じって、寒風吹きすさぶ屋台や定食屋で朝飯を食す。量が多く安い。しかし、それより何より、美味い。ただ、美味い。カツ丼の「豊ちゃん」、ラーメンの「井上」、「かねいち」では海鮮丼が、「かんの」ではマグロいくら丼がおいしい。「仲屋」のウニ丼は、量が少ないが味は折り紙付き。
 仕入を終えた皆様のようにお酒が飲めないのが少し寂しいが、パワーとエネルギーを存分に吸収させてもらい、日比谷線築地駅から事務所のある神谷町へは一本。午前7時過ぎに事務所に到着。今日もエネルギッシュに仕事に取り掛かる。