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弁護士 宮本 督

エッセイ:
to be a Rock and not to Roll

2003.10.19

カツラーの秘密

  小林信也さんって、ご存知?
 長嶋茂雄ファンのスポーツライターで、野球関連本をたくさん書いてる人なんだけど、私としては、がっかりさせる著作の多いライターというイメージだった。私は、山際淳司さんのファンで、いわゆるスポーツものの本は、数限りなく読んでるんだけど、つまらない本も多くって、タイトルだけで選んだ本を読みながら、初めて著者を確認したら小林さんで、「なんだ、またこいつかよー」と思うことが多かった。
 でも、この人が書いた草志社からでてる「カツラーの秘密」っていうの。これ、出色。著者の小林さんがハゲはじめ、アデ○○○を使い、その使い心地にアタマに来て、別のスヴェンソン社に乗り換えるまでを綴った実録ノンフィクション。小林さんは、この本を出版するにあたって、周囲にカツラー(カツラをしている人のこと)であることを公表することになったらしいけど、しかし、ホント、面白かった。
 んで、これを読んだのが、多分、1年くらい前。
 20代の頃から、髪の毛が薄かった私も気にはなっていたが、メンドクサイのは、何よりも嫌なので、何となく忘れていた。この後、小林さんは、洋泉社から、「カツラー探偵が行く」っていうカツラメーカーを潜入取材した本や、青春出版社から、「恋するカツラ」っていうカツラーたちの恋愛をめぐる悲喜こもごものルポとかを出版するんだけど、「人は処女作を越えられない」との格言とおりのデキで、がっかりしてた(関係ないけど、私が連載してる青春出版社の月刊誌「BIG TOMORROW」の法律相談コーナーは面白いよ。)。
 んで、また、時は過ぎ、いろいろあって、2003年10月18日。私の頭に、スヴェンソン社のカツラが乗っかった。昨日から、私もカツラー。
 さっき、日曜日なのに、顧問先の担当者が相談にやってきた。でも、何も言わない。気が付かないわけがない。だって、3日前の木曜日にも会ってるんだもん。だけど、何も言わないのが、礼儀なのね。大谷さん。気さくな方なのに、話題にもしてくれないなんて、寂しいじゃないですか。
 カツラって、やっぱり、暗いイメージかしらん。ハゲって、コンプレックスで、カツラって、それを隠すためのものなんだろうし、そうすると、カツラって、後ろめたいというか、そんなものなんだろうね。やっぱり。俳優さんとかでカツラーであることがバレちゃうのって、具合悪いみたいだし。それから、こうして、カツラーであると発表することは、ハゲであることを告白することなので、じゃあハゲのままでカツラなんてしなくてもいいじゃないか、という矛盾にも突き当たったりもします。
 でも、見た目は、だいぶ違います。白髪交じりの髪の毛を真っ黒に染めたせいもあるけど、5歳以上は若く(馬鹿く)見えるはずです。そんなわけで、しばらく、難しいことは考えず、カツラーでいようと思います。
 夕風肌寒く身に沁む季節となりましたが、皆様におかれましては、益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。私とお会いできました際には、どしどし、カツラの件を話題にして下さい。でも、頭に触ったりはしないでね。