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NAKASHIMA MIYAMOTO ATOORNEYS AT LAW
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to be a Rock and not to Roll 宮本 督
J.BOY
 日課にしている早朝のジョギングの間は、いつもipodを使って、英会話のお勉強をしているのだが、今年の暑さは異常で、こう暑いと、それでも頑張って走っている耳元で、外国語をブツブツとつぶやかれても、とても耳を傾ける気になんてなれない。そんなわけで、この夏は、毎朝、古いロックミュージックを聴きながら走っていた。数十年ぶりに聴き直したという曲もあったが、それでも、昔々、何度も聞き込んだせいで、イントロがかかるだけで全部を思い出す。若い頃の記憶って、スゴイね。
 聴いていたのは、英米独のミュージシャンのものがほとんどだったが、唯一、日本人の音楽で聴いたのは、浜田省吾(ハマショー)の「J.BOY」というアルバムだ。J.BOYとは、“Japanese Boy”の意味。そんなこと当たり前と思うかも知れないけれど、もともと、頭文字のJでJapaneseを表したのは、この「J.BOY」が初めてだったはず。まだ「Jリーグ」も発足前で、「J.POP」なんて言葉もなかった1986年のことだ。ちなみに「JR」は、まだ国鉄だった。
 ハマショーには、一人の少年の成長をテーマにした曲が多い。都会への憧れと挫折を歌う「路地裏の少年」とか、社会に出て学生時代の恋愛を振り替える「19のままさ」とか、家族を守る決意を込める最近の「I am a Father」とかね。知らない?あ、そう。んで、このJ.BOYも、そんな一曲。まだ昭和の好景気に沸く浮ついた気分の国で暮らしながら、プライドを見失い、理想からも遠ざかってしまった青年(当時のハマショーは30代前半だった)の心情が歌われている。
 夜明け前の街を走りながら、J.BOYを聴く。「頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう」と。高校生の頃、何度、この曲を、このアルバムを聴いたことだろう。友人達、女の子、ロックンロール、小説、ノンフィクション、映画、覚えたての酒やタバコ、黒い制服、受験勉強。そんなあれこれが、まるで昨日のことのように蘇る。若い頃の記憶だからね。
 この曲は、J.BOY(つまりリスナーたちでもあり、ハマショー自身でもある。)へ向けてのメッセージでエンディングを迎える。
 日常を打ち砕け/悲しみを乗り越えろ/孤独を受け止めろ/虚しさを吹き飛ばせ
 いつものジョギング・コースの終盤、7キロ起点過ぎの坂道を駆け上がっていた時、何かが私の心に触れた。なぜだか分からないが、立ち止まって、泣き出したいような気持ちになった。
 気を取り直し、再び足に力を込めて走り始める。初めてこの曲を聴いてから四半世紀以上の時が過ぎ、今でも、この曲に心を打たれるのは、私自身が、16歳だったあの頃と同じように(あの時よりずっと)、閉塞や孤独や空虚を抱えているからかも知れない。そんなことを考えながら、スピードを少し上げて、いつものゴールを目指す。
 もうすぐ日が昇る。オジサンになった私にだって、新しい一日はやって来るのだ。
 さて、何を賭け、何を夢見ようか。今さら、何かを夢見ることなんてできるのだろうか。
(2013.8.27)
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