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to be a Rock and not to Roll 宮本 督
交通事故のダブルスタンダード
 私どもの業界内では、常識中の常識なのだが、一般にはよく知られていないと思われる例を一つ紹介。
 交通事故に遭う。そして加害者と示談交渉をしようとする場合、やり取りの相手方は、保険会社となる。保険会社は、例えば慰謝料等の賠償額の支払を提示する。提示された被害者の方は、それが相場なのだろうと思い、人によっては若干の増額交渉をするのだろうが、それでも当初の提示額とそう違わない額で示談成立となるのが通例だ。
 しかし、この保険会社の提示する示談金の額は、裁判所で認められている基準より2割か3割程度、低い金額に設定されているのだ。
 つまり、まず、裁判所に相場がある。同じような事故について、全国各地の裁判所で審理がされているわけで、そうすると、同様の事故なのに、裁判官によって賠償額に大差が生じるのはマズイ。そんなわけで、裁判所に基準が用意されている。保険会社の基準は、おそらくこの裁判所の基準を参考にしながら作られているのだが、それより20%か30%程度、減らした額にしている。
 ここにダブルスタンダードが発生。「保険会社基準」と「裁判所基準」などと呼ばれているが、多くの交通事故被害者は、一生のうち2度も3度も事故に遭うわけではないから(そういう人には、また別の問題があるのだろうが、そんな話しは、いずれまた)、特にインターネットが普及する前の時代は、保険会社から提示された額が正しいのかどうか調べる術もなく、被害者の多くはそれで納得してしまっていた。実は、裁判を起こすまでもなく、保険会社との交渉を弁護士に依頼しただけで、提示内容が「裁判所基準」に変わるため、それだけで提示額が30%跳ね上がるのが通例なのに。
 そんなバカな話しがあるのかと思うかも知れないが、はい、あるんです。こんなバカな話しが、この国では、数十年以上に渡って続いてきた。そして、今でも続いている。
 嘆かわしい状況なわけだが、これも商売のネタになる。先日、ある法律事務所のWEBサイトを見ていたら、交通事故に遭った人で、保険会社から示談金の提示を受けた人からの無料法律相談に応じるとの広告があった。なるほど。なるほどね。弁護士に依頼しただけで(ほんとにそれだけで)、例えば、500万円の示談金が600万円以上とかになるわけで、そしたらその増えた分のうち、いくらかを弁護士代として払ってもらえば、被害者の方も嬉しいし、弁護士も楽勝で嬉しいという計算が働くわけだ。
 同業者として、この弁護士さんのビジネスモデルをどう見るか。昨今の弁護士増加の影響を受け、我々の業界の不況は本当にひどいものなのだけれど、それにしても矜持に欠ける、なんだか情けない手口が横行していて残念と片付けるか、創意ある工夫で、被害者の役に立つ簡明な方法をよくぞ想起したと感心するか、そのあたりは、老若によって見方が違ってくるところなのだろう。
(2014.1.27)
宮本の本棚から

「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」米原万里

 ロシア語通訳者として有名だった著者だが(故人)、幼少時は、日本共産党の幹部党員だった父親の赴任に伴い、9歳から14歳(1960年から64年)まで、プラハのソビエト学校に通っていた。当時、仲の良かった3人の同級生、まだ見ぬ故国の青空を自慢するギリシャ人のリッツァ、貴族の屋敷だった豪勢な家に住むルーマニア人のアーニャ、葛飾北斎をこよなく愛する画家志望のユーゴスラビア人のヤスミンカは、3人とも、著者と同様、各国の共産党の幹部の娘だ。幼少の頃の彼女達との思い出と、それから30年以上の時を経て彼女達を訪ね歩き、果たされた再会が語られる。
 各国の共産党とソ連共産党との関係の変化が、チェコスロバキアのソ連人学校に通う「外人の」子供たちに与えた影響が生々しく描かれ、その後のプラハの春、ソ連による東欧の支配(ブレジネフ・ドクトリン)、それに対抗したチャウシェスクによるルーマニアの自主路線、そしてボスニア・ヘルツェゴビナでの紛争といった、歴史の中で翻弄されたかつての親友達の血なまぐさいまでの運命。それらは、イデオロギーと民族と宗教による複雑な対立の中で、なんとか生き延びた東欧の人々の現実であり、生きた現代史とも言える。そんな重い内容のはずなのに、筆致はとても爽やかで軽い。
 超オススメ。

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