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ゴルフ場問題Q&A
(「ゴルフ会員権法律相談」ゴルフワールド)

弁護士 宮本 督

Q17 延長決議の効力2

ゴルフ場の預託金据置期間の延長決議について、最近、有効とする判決が相次いでいると聞きました。詳しく教えて下さい。

A

 以前、私は、本欄で、預託金据置期間の延長決議は、これに同意していない会員との間では、何の効力もないと書きました。そして、現在でも、このとおりと考えてよいと思われます。

 ご質問にありますとおり、平成一二年末から今年にかけて、三つのゴルフ場について、預託金の据置期間の延長を有効とする判決が、合計六個、各地の地方裁判所で言い渡されました。これらの判決例の理論的な問題性についての詳細な検討は別の機会に譲りたいと思いますが、私としては、これらは、控訴審(高等裁判所)では維持されないだろうと考えています。

 ただし、これらのゴルフ場の会則では、預託金据置期間の延長に関し,「(預託金を)返還することが著しく困難であり,かつ,これに応じた場合他の会員の施設利用に悪影響をおよぼすおそれのある場合」(春日居ゴルフ倶楽部)等,極めて広範でありながら具体的といえるものが用意されています。しかも、延長期間中の経営努力により、延長後には預託金の返還が可能となることが条件とされているものがほとんどです。

 多くのゴルフ場の会則には、このような広汎かつ具体的な定めがないこと、五年間から一〇年間の据置期間の延長では、延長後の返還可能性は期待しにくいことを考えますと、これらの判決例は、現時点においてもやはり例外的なものと考えざるを得ないでしょう。