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弁護士 宮本 督

エッセイ:
to be a Rock and not to Roll

2000.09.17

まえがき

 その著書の前書きで、「私は、もう弁護士をやめたい。」と書いたのは山口宏弁護士だ(「裁判の秘密」宝島社文庫)。山口氏は、「依頼人が抱えて来る不幸には、下品な不幸や主観的な不幸、非理性的な不幸も多い。」とし、また、弁護士稼業は儲からないとつぶやく。だから、弁護士という仕事は、「正義感」で常に自らを鼓舞していないと、とてもやっていけない商売で、自分が解決を求められた不幸については、無理にでも『正義感』に燃えなければ、気持ちが萎えてしまう」と嘆く。
 遅すぎる手続、実現されない勝訴判決、汚い手を使う相手方弁護士、非常識な裁判官、言うことをコロコロ変えたあげく報酬を払ってこない依頼者。
 山口氏の気持ちの分からない弁護士は、おそらく一人もいないだろう。もちろん、どんな仕事にも苦労はある。それはよく判る。だが、弁護士に対する世間的な評価と、弁護士をやっている者との間では、弁護士業に対する意識についてギャップがありすぎるとも思う。
 しかし、有能か無能かはともかく、私は、弁護士に向いているとは思う。元来、好奇心が旺盛だった私にとって、仕事をしつつ勉強にもなるというのは素晴らしいことだ。しかも、たまったストレスは、相手方にぶつけ、それでご飯が食べられる。「不幸」を解決できたとき、依頼者には本当に喜んでくれる人もいる。当時は仕事の内容についてよく判らないままだったが、司法試験を受けることにしてよかったと思っている。
 そんな訳で、私は弁護士をやっている。そして、これからも続けていく。私は、一個の岩(rock)となり、決して揺らぐ(roll)ことはない。
 ここには、弁護士の独り言をつづっていく。このホームページの他の部分にあるような有用な情報――少なくとも一握りの人にとっては――は一切ない。弁護士の舞台裏の紹介もあるだろうが、純粋な趣味についてしか語られない部分の方が多いかもしれない。でも、たまには覗いてもらいたい。このホームページで、笑いがとれる可能性があるのは、この欄だけですので。