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弁護士 宮本 督

エッセイ:
to be a Rock and not to Roll

2004.08.21

お勉強君とスポーツ君と

 高校野球を見なくなったのは、いつの頃からだろう。小学生の頃は見てたと思う。高校生になってからは、まったく見なくなったし、今でもまったく興味なし。
 この国の学校教育のせいもあるけど、子供の頃って、お勉強とスポーツの、両方か、あるいはどっちかができる人が、何となくクラスとかで目立つ存在になりがちだったと思うけど、私ってば、しっかり「お勉強君」で、運動神経が発達してる「スポーツ君」には、何となく、コンプレックスとかがあった。だって、スポーツ君の方が女の子にモテルんだもん。
 そんなわけで、スポーツ君が目立つお祭りには、何となく敵愾心っていうか、そんな大袈裟なもんじゃなくても、やっかみとかがあったのかも知れない。何だいありゃ。先輩後輩の縦社会ってバカの救済のためにシステムだろ(ダメな先輩もプライドを保持できる。)。汗くさい。暑苦しい。アホちゃうか。って、そんな感じだったかな。
 ただ、34歳にもなってみると、高校野球どころじゃない、プロ野球だって、オリンピックだって、当たり前のことだけど、選手達は、ほとんど、みんなずっと年下。同じ年の選手なんて、「大ベテラン」なんていわれてる。そうすると、お勉強君とスポーツ君とか、そんな下らない垣根のことは忘れて、世代が一緒同士の連帯感っていうのかな、そんなんが何となく芽生えてきて、大ベテランになった同じ年頃のスポーツ君のことも応援したくなってきたけど。
 話しがそれたけど、お勉強君としては、スポーツ君に対する、何とも言えない嫉妬心というか、そんなんが今でもないわけではない。
 ITのベンチャー企業が、近鉄バッファローズを買収したいとか、そうじゃなくてもプロ野球に参入したいとかいってるけど、あの社長さん、同じ大学の同じ学部の1つか2つか後輩らしくって、見るからに、スポーツ君じゃなくて、お勉強君っていう風貌じゃない?会ったこともないから勝手な想像なんだけど、あの社長さん、きっと、子供の頃は野球選手になりたかったんじゃないかな。もちろん、そんなんは目標とか、そういったレベルのものじゃなくて、たかだか夢とか憧れみたいなもんだったと思うけど。でも、スポーツなんかするより、お勉強がよくできちゃったから、うっかり東大とか行っちゃって、その後、経営の才能もあって、バカデカイ会社とアリアマル金を手にしたと。で、お勉強君として、スポーツ君に対する嫉妬心とか劣等感とかを忘れてなくて、そんなんを克服するために、野球選手を札ビラで使う立場の野球チームのオーナーになろうとしてる・・・。そんな気持ち、あの社長さんの意識か無意識か、心の中のどこかに、ひっそりとないかな。それで、スポーツ君にようやく一矢報いたような気になって、どっかのバーで、「俺は勝った」って、一人で気持ちよく、でも、そんなこと誰にもいわないで、シミジミと飲んでたりする夜があってくれたらいいな、って少し思う。
 新興の金持ちって、この国の連中(特にエスタブリッシュメントとか呼ばれるヤツら。どっかの野球チームのオーナーだったクソジジイとかね。)には鼻持ちならないとか思われがちだけど、あれだけの金を稼ぐのって、メチャクチャ大変だったはずで、それこそ松井君やイチロー君どころじゃない才能と努力の結果なことは間違いなくて、その金で、子供の頃の夢を越えたものを手に入れようとしてるのって、なんか痛快に思えちゃう。私にとっては、あの社長さん、何といっても、お勉強君の仲間だからね。