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弁護士 宮本 督

エッセイ:
to be a Rock and not to Roll

2006.04.02

文化のバトンリレー

 いつの間にか、書籍を、本屋で購入することはほとんどなくなった。大体、インターネットで購入する。
 仕事に使う本(ただし、いわゆる専門書の調達は、事務所で別の方法でやってるから、そんなんじゃなくて、ちょっとした参考に見たい程度の本。例えば、手掛けている事件の業界について書かれた本とかね。)はクリックした2日後とかに事務所に届く。私は、家では仕事をしない(ようにしている)ので、自宅には仕事以外の本が郵送するように手配する。自宅なんて、もちろんほとんど不在だけど、何でもかんでも宅配ボックスに突っ込んで行ってくれればそれでOK。後で、クレジットカードでまとめて決済。
 で、私、自分の書いた本も、お客さんとかに差し上げるために常備しておくのに、ときどきインターネットで、っていうかアマゾンドットコムで購入するのだが(もちろん著者割引なんてないけど、便利なもので、つい。)、ここのサイトは、客に、いろいろ無駄遣いをさせるために、モノを案内するページとか購入後の画面とかに、「関連商品」って欄があって、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」っていって、まあ、そのとおり「この商品を買った人」が他に買った物が表示されるようになっている。で、私、1年くらい前、私の本を買ったとき、なぜか、HOOBASTANKとかいうアメリカのロックバンドのCDが現れて、ん?って思ったんだけど、って、他は、大体、ビジネスマン向けの本とか、法律専門家向けの本とかが、だらだら愛想なく並んでる中で、一個だけCDが表示されて、しかもよく知らないバンドのCDで、でもなんとなくクリックして、まあそれでアメリカの若いロックバンドのデビューアルバムって初めて分かったんだけど、で、つい、うっかり、購入してしまった。あれれ(しかし、これ、どう考えても「関連商品」じゃぁねぇだろうと思うのだが、まあ、いいか。)。
 ただ、このCD、なかなか、よかったのね。それで、2枚目のアルバムも、CDは買わず、データだけダウンロードしてi-podにぶち込んでよく聴いてる。これも時代の変化だねえ。オジサンとしては、ついていくだけで大変だ。
 それはそうと、私ってば、流行の音楽とかを聴くには、もう現役世代じゃないから、バックチェリーとか、オアシスとか、せいぜいフーファイターズとかまでが限界で(って、正直、少し見栄を張ったけど。)、コールドプレイもロストプロフェッツもヴァニラスカイも、ぜーんぜん知らなかったんだけど、このHOOBASTANKを切っ掛けに、いろいろ、最近のロックの状況も見てみるというか、聴いてみることにしていて、ここ1年間くらい、ちょっと若々しく(馬鹿馬鹿しく)やっていますが、それはそうとレッドホットチリペッパーズって、こんな感じになっちゃったのね。ふーん。同じバンドだよね?
 それはまあいいけど、欧米の流行音楽の業界って、他のジャンルでもそうなのかも知れないけど、世代から世代へのバトンタッチが、しっかりと行われていることに改めて気付かされる。そういえば、今年の3月5日には東京国際フォーラムでジェームス・ブラウン(ゲロッパの爺さんね。)が、3月22日には東京ドームでローリング・ストーンズも、レイ・チャールズに捧げると言って"Night Time Is The Right Time"を熱演してた。大御所が揃って同じ曲を採り上げる偶然もすごいけど、いいたいのはそんなことじゃなくて、この例だけじゃなくて、"今どきの人たち"の音の中にも、ビートルズやローリング・ストーンズやフーやエアロスミスやクイーンやU2だけじゃなくて、マディー・ウォーターズやロバート・ジョンソンやウィルソン・ピケットの古い古いブルースの影響とかが見え隠れしてるのを感じることがある。
 でも、まあ所詮、文化ってそういうもので、ってどんなミュージシャンも作家も、最初はリスナーであり読者だもんね。
 って、そんなことを考えながら、感じながら、今夜は、これから、さいたまスーパーアリーナでローリング・ストーンズの公演だ。今回のツアーでストーンズを観る未来のミュージシャンは、自分のつくる音楽にストーンズの遺伝子をしっかりと刻み込むだろう。
 もう来日することもないだろうから、今夜は、私にとっては、多分、最後のストーンズのコンサートになる。最高のショーになることを期待して、そろそろお出掛けだ。