銀座数寄屋通り法律事務所[旧 中島・宮本・溝口法律事務所] >HOME

弁護士 宮本 督

エッセイ:
to be a Rock and not to Roll

2025.05.24

オートバイに挑戦

 原田マハの小説「さいはての彼女」には、北海道でのバイク・ツーリングが描かれていて、昨年(2024年)の夏、なんだかいいなあと思いながら読んでいました。その最中、実家に顔を出したらたまたま鉢合わせた大学生の姪が、最近、バイクの免許を取得したと言うではないですか。うーん、うらやましい。叔父さんも免許取る!バイク乗るぞ!と即決。
 というわけで、19歳で普通乗用車の運転免許を取得して以来、35年ぶりに自動車教習所に通って中型二輪の免許をゲット。250CCのバイクを購入して、仕事やら遊びやらで、ときどき乗っています。50歳を過ぎての初体験で、驚かされることも少なくありませんでした。今回は、そんなオッサンの新発見をいくつか。
 まずは教習所ですが、車の免許を持っていれば、いわゆる座学はなく、実技だけを17時間だったかな、受講して卒業できます。落第して教習を追加されなければ、かかるお金は20万円以下。ただ、私の通っていた教習所に限ったことではないようですが、教習の予約がとりにくく、入校から卒業まで3カ月近くかかりました。 10代とか20代の子供達と一緒に教習を受けることになるのかと思っていましたが、今どきの若い子って、バイクに興味なんてないんですね(私の姪は例外だったようです)。一緒に教習を受けていたのは、30代から40代が中心。男女比は4:1くらいだったと思います。
 それからバイクの値段にも(いい意味でしたが)少しびっくり。初めてのバイクは、ホンダ製の中古車にしましたが、その車両(レブル250)は新車でも60万円台(税込み)。4輪車とは、だいぶ値段の感覚が違います。ただし、レンタル料金はこの真逆です。バイクのレンタル料金は半日で、安くても1万円以上になります。今、ざっとネットで調べてみた限りでの比較ですが、レンタカーの料金のおおよそ倍のイメージです。これは正に、需要と供給の問題で、レンタルバイクの利用者って、レンタカーとは比較にならないほど少ないのだろうと思います。
 バイクの購入を決めて、困らされたのが駐輪場の確保でした。車庫証明書は不要なのですが、それはともかく日常的な置き場所が必要です。都心のマンション暮らしの身としては、自宅の裏庭に持ち込むようなことはできず、また私の住むマンションでは車の駐車場にバイクを止めることはできないということで、近隣で探し回りましたが、なかなか見つけられませんでした。とりあえず、家から歩いて20分くらいの所を確保し(職場の近くです)、その後、家から徒歩5分くらいの所を見付けたら、そこが早々に閉鎖されることになり、また別の場所に移ったところ、やっと家の目の前に駐輪場ができて…ということで、わずか半年足らずのうちに、4カ所の駐輪場を転々とすることになりました。
 バイクは危ないのではないか、と心配されることも少なくありません。もちろん危ないのでしょうが、乗っている身として、危険性よりはるかに強く実感するのは疲労です。たとえば2時間くらい高速道路を運転することを考えると、自動車であれば特に疲労を意識することはないと思いますが、バイクでは、かなりヘトヘトになります。もちろん、ただ座っているだけで、具体的に何か激しい運動をするわけではありませんが、風と振動を体に直接受け、また知らず知らずのうちに緊張して体にも力が入ってしまうのでしょう。大げさではなく、車を運転するのと比べて5倍くらいの疲れを感じるように思います。
 先日も、茨城県の北部に用事があり、JRの特急列車で出かけるつもりだったのですが、ふと思い立ってバイクで行ってみることにしました。ついでに、近隣の観光地とかも見て回り、日帰りで合計350キロくらいの行程になりましたが、どっと疲れてしまい、翌日からしばらく体調が優れないということになりました。そうすると、遠方でのツーリングなんてものに誘われても、往復の高速道路での「苦行」に心理的な抵抗を感じてなんだか後ろ向きになってしまいます。この点は、私のバイクが街乗りには向くけど、長距離の移動には向いていないということにあるようにも思われ、少し値は張りますが、レンタルバイクで、高速道路の走行に向いていると思われる車両をいくつか試してみようと思っています。それとも、400CC以上のバイクにも乗れる大型免許の取得を目指すか。
 オッサンが何を目指して、どこに向かっているのか…。どうか聞かないでください。