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NAKASHIMA MIYAMOTO ATOORNEYS AT LAW
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to be a Rock and not to Roll 宮本 督
見えないものを見るために
 優秀なクレムリン・ウォッチャーの主な情報源は、プラウダとかタス通信とかで、それでも、「行間を読む」っていうのかな、当然に書いてあるべきことが書いてないとか、当然に登場すべき人物が登場していないとか、そんな「見えない情報」を見出して状況を分析することに長けた人物が、ヨーロッパやらアメリカやら日本やらには何人かいたらしい。でも、当たり前のことだけど、クレムリンの組織とか人事の傾向とか仕組みとか誰かと誰かの人間関係とか歴史とか周辺事情とか年中行事とか、そんなこんなについて、相当に深くて広い知識がないと、あるべき事柄も、登場すべき人物もさっぱり判らないはずなわけで、要するに、目に見える範囲から目立つモノを採り上げるのは誰にでもできるけど、存在しないモノの中から有意義なモノ(あって然るべきモノ)を抽出するっていうクレムリン・ウォッチャーの仕事って、(彼らの分析が実際に正確だったのかは知らないけど)やっぱり、プロフェッショナルな仕事だったんじゃないかしらん。
 こーゆーことって、裁判にも当てはまる(って話の展開がまるで弁護士のエッセイ。)。貸した金を返せという裁判で、借用証もバッチリあるぞ、領収証だってある、でも、よく知らない者同士の間で、そんな大金の貸し借りをする動機がよく判らないという場合とか、裁判官は、この原告(の弁護士)は、どうして金を貸すに至った経緯を裁判の場で説明できないのか、と疑問に思う。そうすると、ハンコを誰それに預けていたことがあって、その間に借用証とか領収証とかを作られてしまったという被告側の言い分にもそれなりに合理性があるのではないかと思うようになる・・・と、他にもう少しマシで説得的な例が思い浮かばないのが情けないんだけど、優秀な法廷弁護士が、そんな「見えない情報」(大金を貸し付けた動機がよく判らないこと)の重要性を強く意識しながら仕事をしているのはもちろんのことだ。
 でもね、「見えない情報」って、当たり前だけど見えないわけで、特に、仕事を独りでやっているとポカッと盲点というかエアポケットというかそんなものが生じたりするし、誰かと一緒にやっているときでも、熱中しちゃって、中に入り込めば入り込むほど、木を見て森を見ずっていうのかな、見えるべきモノが見えなくなってくることはよくある。猛スピードで運転していると視野が狭くなるのと同じかも。それに、特定の思想を背景に寄り集まってる(と思われる)弁護団っていうのがあるらしくって、そーゆー集団って、閉鎖的になって「外部」に対する意識が希薄になりがちで、閉塞感が熱狂を生みだすのか、冷静な反対意見を言い出しにくい雰囲気が醸成されたり、反対意見が多勢に無勢でかき消されてしまったり(「そんな馬鹿なことがあるわけねえだろう」って大声が飛ぶ。それでその点は議論できない。でも、「そんな馬鹿なことがあるわけねえ」ことの理由を、その場にいる人が誰も説明できない。)、それで、そーゆー連中を、裁判の相手方にしていたりすると、おいおいマジかよ、というような言い分が飛んでくることが多いし、訴状の表現とか、大袈裟でおどろおどろしいんだけど、訴えられた私の依頼者の素人目にも「見えない情報」だらけということが多い(センセーたち、同じ職業の私まで恥ずかしいから、気を付けてね。)。
 ただそうは言っても、クレムリンのこととか、引き受けている事件の業界の慣習や事情とか、そんなことちゃんと(ほんとにちゃんと)知らないと、見えない情報は見えてこないわけで、そうかと言って、のめり込み過ぎてもダメだし、毎日、いろいろ大変ではありますが、まあ今年も頑張ってます。
(2006.1.31)
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