中島・宮本・溝口法律事務所
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NAKASHIMA MIYAMOTO ATOORNEYS AT LAW
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to be a Rock and not to Roll 宮本 督
法曹の増員とレベルの低下
 ここに一通の判決書がある。
 全面勝訴。んで、相手方は控訴せず、この判決は確定した。
 ところが、この判決書、間違ってるんだ、これが。詳しく書けないのが残念だが、この判決書、完全に間違ってる。勝った私が言うのだから間違いない(法曹の方のために、一応申し上げるが、簡易裁判所の判決ではない。)。
 相手の弁護士は、明らかに登録して間もない方で、裁判官も、6、7年目の方だったと思う。私は、法律的に間違った主張をした。念のため、事実関係で嘘をついたわけではない。そんなことは絶対にしない。法律家なら、ちょっと調べてみれば、誰にでもわかるような法律の適用関係に関する間違い。ところが、相手方から「そりゃ間違いだ」って指摘はなかった。裁判官も気付かなかった。そして、そのまま判決に至る。判決書には、間違いがバッチリと堂々と記されている。どこに出しても恥ずかしい。控訴されていたら、さすがに高等裁判所の裁判官は気付いただろう。まかり間違って判例雑誌とかに掲載されたら、それこそ事件だ。もともと、事件だから裁判になって、それで判決にまで至ったわけだけど、その判決が大間違いなわけで、そりゃ、またまた大事件なわけだ。
 しかし、ひどい話だと思う。もちろん、裁判官も、相手方の弁護士さんも、相手方の当事者さんも、間違いに気付いていない(と思う。)。私の依頼者には教えてあげた。あんたは勝って喜んでりゃいい。金もバッチリとれたことだし。弁護士報酬もしっかりと支払っておくれ。だけどさ、あたしゃ、悲しい。この国の法曹のレベルの低下が悲しい。
 この件だけじゃない。最近の状況は、ちょっとひどい。
 誰も言わないから、私が言おう。
 理由ははっきりしてる。明々白々。そう、法曹の増員。司法試験の大量合格。レベルの低い弁護士さんが増えるのは、正直、有り難い面もあるわけだが、少し前なら、アホウな言い分はお年寄りのお気の毒な弁護士さんの専売特許だったのに、最近、この業界、頭の回転の悪いオニイチャンやオネエチャンが大増殖してる。一人二人と、最近、変な弁護士にあたるなと思っていたら、あっと言う間だった。瞬く間に、低レベル弁護士さんが蔓延。ゲームオーバー間近だね。
 だってそりゃそうだろう。昔って、ほんの10年くらい前までは、500人とか600人とかしか合格しなかった。今は、いろいろ試験があるけど1500人くらい合格するらしい。もちろん、500番の人と、501番の人は、そんなに差がない。500番の人と、1000番の人だって、大差ないかも知れない。でもね、問題なのはそんなことじゃない。司法試験というのは、大学入試なんかと違って、一回か二回しか勝負がないわけじゃない。今年の不合格者の多くが、来年も再チャレンジする。再来年もチャレンジ。それで、昔は、上位500番までしか受からなかった。700番くらいまでの人は積み残しになって、翌年までちゃんと勉強して、ようやく合格と。その翌年もその繰り返し。でも、今は、こんな積み残しがなくて1500人、まるまる受かる。2000番の人は、多分、来年、受かっちゃう。昔だったら、実力的に2000番目の人なんて、一生、受からなかったはずだ。新規参入者がいるわけだからね。それにそもそも、2000番目の人なんて、って今年の2000番目の人って、上位の人が既に大量に合格して抜けちゃってるわけだから、合格者数が昔のままだったら、2000番になんて、とてもとても入ってないはずだ。
 要するに、1500人も合格するって、こんなんもん、はっきり言って、ちょっと年数をかければ、誰だって受かるってことだ。それでも落ちてる人はいるわけだから、まあ失礼は承知な上だけど、1500人も受かるのに、何年もやってダメなら、人様の裁判とか弁護とかを生業にするの止めた方がいい。ほんと。迷惑だ。って、誰も言わないから、私が言うだけだよ。怒らないでね。
 この業界では、今のところ、レベルの低下は大声では議論されていない。飲み屋のカウンターとかで、同世代の弁護士が寄り集まって、ボソボソ喋ってるくらいかな。表面的には、弁護士が増えて生活が脅かされるとか、大声で議論してる寝ぼけた爺さんとかが目立つだけだ。でもね、最近、ちょっと薄ら寒い感じを味わうことが増えた。どうしたものかなと思う。
 裁判官だって、最近じゃ全然信用できないから、交渉事も、できるだけ裁判にならないように気をつけながら進めてるし、契約書だって、昔だったら書く必要のなかった注意書きとかもいっぱい書き加えて、だってそうしないと、裁判所が契約書の意味を間違って解釈する可能性があるし、アホウな弁護士さんが、ワケのわからないこと言って裁判起こしてくるかも知れないからね。
 それで、まだまだ司法試験の合格者は増え続けて、まあ増え続けなくても、今のままでも誰でも受かるわけだから、業界のレベルは下がり続ける。弁護士が少なくて、裁判が遅くて、司法サービスが受けられないとか言って、法曹の大増員が始まったわけだけど、こんな低レベルの司法ができあがっちゃ、本末転倒だと思うよ。まあ、大人達が勝手に決めたことで、好きにすればいいけどね。私は、私の道を行きますので。
 読んで、不愉快だった人、ゴメンね。でも、全部、ホントの話なんだけどね。
じゃ。また。
(2006.11.23)
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