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企業と法律

企業倒産

企業のための民事再生の法律相談

弁護士 宮本 督

1. 民事再生手続とは何か

(3) 民事再生手続はどのような企業が利用できるか

 民事再生法は、再生手続を利用できる債務者の資格につき、特に制限を設けていません(1条参照)。この点、同じく再建型倒産手続である会社更生手続がその適用対象を株式会社に限定しているのとは異なります。
 これは、民事再生手続が和議手続に代わる再建型手続の一般法として制定されたことによります。もともと、民事再生手続は、中小企業等を主たる対象として構想されたものですが、このように、その対象となる債務者については法律上何らの限定がされていないので、個人事業者も、大企業も利用することができますし、従来、会社更生手続等を利用できなかった医療法人、学校法人、社会福祉法人や宗教法人などがこの手続を利用することもできます。従来、大規模な病院の倒産事件では、(株式会社でないために)会社更生手続を使えず、やむを得ず破産手続を用いて事業譲渡をするような手法も行われていましたが、民事再生手続はそのような場合をも射程に入れているものです。
 なお、個人の債務者については、平成13年4月から、「小規模個人再生手続」及び「給与所得者等再生手続」が利用できることになりました。住宅ローン等の債務を抱えて経済的破綻に瀕した債務者が、破産を回避して再生できるための特則(住宅資金貸付債権に関する特則)も用意されています。