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企業のための民事再生の法律相談

弁護士 宮本 督

3. 民事再生と債権者

(3) 債権届出が絶対に必要

 再生債権者は、再生手続開始後は、原則として再生手続によらない弁済が禁止されます(85条1項)。再生手続に参加して弁済を受けようとする再生債権者は、裁判所が定めた期間(「債権届出期間」)内に、自らの債権について、内容、原因及び金額等を裁判所に届け出なければなりません(94条1項)。また、抵当権者などの別除権者は、これらの他、別除権の行使によって弁済を受けることのできないと見込まれる債権額(「予定不足額」といいます。)を届け出なければなりません(同条2項)。なお、債権届出期間が経過した後の届出は認められませんが、再生債権者の責任に帰することのできない事情によって届出ができなかった場合には1ヶ月以内に限って届出の追完をすることができます(95条1項)。
 再生債権者は、個別的な権利行使を禁止されてしまいますが、再生計画が作成されて弁済されるのをただ待っているのではなく、自らの再生債権をもって自ら積極的に再生手続に参加することができるとされています(86条1項)。
 ただし、届出の重要性は、むしろ手続への参加よりも、届出のない再生債権については、原則として再生計画認可決定の確定により債権そのものが免責の対象になってしまう(失権効。178条)ことにあるといえます。この効力は、会社更生法241条と類似するもので、一定の例外はあるものの、再生債権者にとっては特に注意が必要とされる効果です。