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企業のための民事再生の法律相談

弁護士 宮本 督

3. 民事再生と債権者

(5) 一般優先債権について

 一般の先取特権その他一般の優先権がある債権(共益債権であるものを除く)は、「一般優先債権」とされ(122条1項)、再生手続外で、随時、弁済を受けられることとされています(122条1項・2項)。
 民法上の先取特権(民法306条ないし310条。具体的には、被用者の給与、葬式費用、日用品購入費用等)の他、会社使用人の先取特権(商法295条)などが「一般の先取特権」にあたり、企業担保権(企業担保法2条)で担保される債権、租税債権(国税徴収法8条など)などが「その他一般の優先権のある債権」にあたり、これらの債権が一般優先債権となります。
 なお、一般優先債権の優先的取り扱いは、共益債権とまったく同じです。もっとも、共益債権については、再生債権に先立って弁済を受けることが明文で規定されている(121条2項)のに対し、一般優先債権についてはそのような規定がありませんが、これは、一般優先債権は、もともと民事再生法以外の法律によって優先権が認められている権利であるために明文規定がおかれていないという立法技術上の理由によるもので、再生手続による制限がないという点では、共益債権と一般優先債権の取扱いに違いはありません。また、一般優先債権に基づく強制執行などに対しても、共益債権に基づくそれと同様に、中止・取消命令の制度が用意されています(122条4項による121条3項~6項の準用)
 ただし、民事再生手続が破産手続に移行した場合には、一般優先債権は租税債権を除き、優先破産債権となるに止まり(破産法39条)、この点、財団債権となる共益債権(16条4項・5項)とその取扱いを異にするところです。