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一覧経営再建をあきらめる前に東京でスタートした新倒産手続
企業のための民事再生の法律相談
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弁護士 宮本 督
3.民事再生と債権者
(9) 競売手続の中止命令
 再生債務者の財産に対し担保権を有する者は、その目的財産について、別除権を有し、再生手続の制約を受けずに自由に行使することができます(53条1項・2項、仮登記担保法19条3項)。しかし、このように担保権の実行について一切制約がないと、再生債務者の事業継続や経済生活に必要な財産までもが失われてしまい、再生債務者の再生が困難となる他、さらには再生債権者一般の利益に反する場合もあります。企業再建を手掛けようとする弁護士としても、和議法下においては、重要な資産を担保とする大口債権者と、和議申立に先立って大筋で弁済合意を成立させておく必要がありましたが、この調整に思わぬ時間を要し、結果として、再建を諦めざるを得なかった例もあると報告されています。
 そこで、担保権の実行を一時的に中止し、再生債務者の再生に必要な特定の資産の換価・散逸を一定期間防止することにより、再生債務者が担保権者等と交渉して被担保債権の弁済額・弁済方法等につき話し合いによる解決を図るための機会と時間的猶予を与えるため(再生債務者としては、後述する担保権消滅請求(148条以下)により、担保権を消滅させるという方法もあり得ます。)、担保権の実行としての競売手続を一定の期間中止する旨の裁判所の命令が発令されることがあります(31条)。
 中止命令が発令されるためには、まず、〔1〕再生債権者一般の利益に適合することが必要です。たとえば、競売の目的物が換価されると再生債務者の事業または経済生活の再生が不可能ないし著しく困難になる場合や、換価の時期・方法等を変えることによってより高価に換価できる見込みがある場合などが考えられます。
 さらに、〔2〕競売申立人に不当な損害を及ぼすおそれがないものと認められる場合でなければなりません。例えば、競売申立人自身の資金繰が悪化して倒産する危険が生じる場合や、担保余力のない物件について価値の著しい下落が見込まれて担保割れとなるか、担保割れの金額を増加させる恐れがある等の場合には、「不当な損害を及ぼすおそれが」あるとされ、競売手続の中止命令が認められないことになります。
 なお、裁判所が中止命令を発令するに際しては、競売申立人の意見を聴取することが必要とされています(31条2項)。競売手続の中止が競売申立人に不当な損害を及ぼすおそれがないか否かを審査するためです。
 中止命令があると、進行中の競売手続はそのまま凍結されますが(差押えの効力も維持されます。)、既にされた手続が無効になったり、取り消されたりするものではありません。
 実務的には中止命令は比較的緩やかに発令されていて、中止の期間は数ヶ月程度となっていますが、その間に債務者と担保権者との間で話し合いが付かない場合、さらに更新されることもあります。担保権者の立場としては、先述の意見聴取の際に、本件が前記の〔1〕、〔2〕の場合に該当しないことを主張し、中止命令が発令された場合には、即時抗告をして争うことが考えられますが、中止命令が出された後では、債務者と精力的に交渉して有利な弁済協定の締結を目指すことが得策な場合が多いと思われます。
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