中島・宮本・溝口法律事務所
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eビジネスの法律問題
一覧経営再建をあきらめる前に東京でスタートした新倒産手続
企業のための民事再生の法律相談
企業のための民事再生の法律相談
弁護士 宮本 督
8.民事再生とM&A
(2) 営業譲渡の有用性と問題点
 経営不振企業がリストラの一手法としてM&Aを導入する動きが広がっています。M&Aの手法としては、株式買収、合併、営業譲渡などがありますが、株式の取得や合併は、買収企業をいわば丸抱えすることになり、不採算事業部門や多額の負債も承継することになるので、多くの場合、資産・負債の選択が可能な営業譲渡の手法がとられることになります。営業譲渡によれば、企業全体を再建することは困難でも、採算性の優れた事業部門だけを切り離して再生することも可能になります。
 しかしながら、この営業譲渡は、実務的には多くの問題を抱えています。
 まず、株式会社の営業の全部または重要な一部の譲渡については、株主総会の特別決議が必要とされていて、議決権の過半数を有する株主が出席した株主総会で3分の2以上の多数の賛成を得る必要があり(商法343条、商法245条)、株主が多数いる企業では、実務的にはこれが大きなネックとなります。
 また、営業譲渡は、経営破綻に近接した時期にされる場合も多いのですが、このような場合、営業譲渡の適正な対価を算定することが困難で、「否認リスク」が残るという問題があります。つまり、営業の全部または重要な一部譲渡をした場合、譲渡会社はその後、事業を廃止、清算することになりますが、主要債権者が親会社のみであったり、債権者の数が限られていて大部分の債権者の協力が得られるような場合を除き、通常清算や特別清算の方法で清算処理することができず、破産手続を用いて清算せざるを得ません。そして、破産手続中において、破産管財人から、営業譲受企業に対し否認権を行使される(破産法72条以下)というリスクが残ってしまうのです。
 不動産などの重要な資産の処分については、適正価格での売却であっても原則として否認の対象となるというのが確定した判例法理で、営業譲渡についても同様に否認の対象になり得ると考えられます。最近では、「相当」な行為については、否認の対象にならないともされていますが、たとえ、適正価格での営業譲渡であっても100%安全ということはありませんし、そもそも、後日、価格が適正と認められる保証もありません。このため、譲受会社サイドが、この否認リスクを恐れるため、経営不振企業の営業譲渡ができないということも生じています。
 さらに、この否認リスクを回避するために、倒産法手続を採り、その手続中で営業譲渡を行うことも試みられてきましたが、すでに経営が破綻した企業では人材や商権が離散してしまうことを避けられません。大倉商事のケースでは、破産手続中に営業譲渡が行われ話題になり、また、会社更生手続中の営業譲渡が行われることもありますが、やはり、従来の倒産法手続では、いずれもこのような資産の劣化を回避しながら進める必要のある、スピーディーな営業譲渡手続は困難な面がありました。
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