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企業と法律

労働

続発する労使紛争と企業の対策
(近代中小企業 02.7)

弁護士 宮本 督

労使紛争が生じた場合の処方箋

 個別労働紛争解決促進法による諸制度が利用される場合に限らず、個別労使紛争が生じた場合の対応として最も重要なことは、実は、最初の段階で、最終処理の予測を立てることにあります。つまり、裁判となった場合の勝ち負けの見通しをつけることです。
 もちろん簡単なことではありませんが、問題となっている事実関係を一定程度調査・整理した上で、労使紛争に詳しい弁護士に相談してみて下さい。多くの事例では、訴訟となった場合の勝敗の見通し(勝訴する確率)を大雑把に指摘してくれるはずです。
 その上で、他の労働者に与える影響や、人事考課についての理念や、場合によっては収益状況等々に基づく経営判断を加味し、具体的な問題に対する対処方針を決めることになります。
 不当な要求であると突っぱねて裁判を辞さない構えで臨むことも、労働者からの申し入れや都道府県労働局長による助言を受け入れることも、話し合いによって妥協点を探ることも、また、場合によっては秘密裡に処理することを最優先しなければならないこともあるかも知れません。
 また、企業経営者としては、自らの労働者に対する影響力を過信しないことも重要です。「俺が直接話せばわかってもらえる」ことばかりではありません。労働者サイドが周到な準備をしていることもあり得、問題をこじらせることにもなりかねず、充分な注意と冷静な判断が必要なことは肝に銘じていただきたいと思います。