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NAKASHIMA MIYAMOTO ATOORNEYS AT LAW
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to be a Rock and not to Roll 宮本 督
なんちゃれユニオン
 会社と従業員との間では、不当解雇だとか、賃金未払だとか、セクハラだとか、まあいろいろな問題が起きるわけだが、私は、多くの場合、会社サイドで相談を受けて、交渉や裁判を引き受けたりする。そして、労働事件に限らず、どんな紛争でも、当事者がいて、相手方にも弁護士さんがついたり、それで交渉したり裁判したりすると、裁判官が登場したりするわけだけど、この手の問題には、他の事件では絶対に存在しない役者が登場する。それは、労働組合。
  昔は、労組といえば、左翼思想の企業内労組だったわけだが、最近は、左派主導であることは代わり映えしないけど、一般労組とか外部労組とかいわれる、企業の外部にあって、一人で加入できる労組が増えていて、これには、労組のない会社はもちろん、企業内労組の組合員でも加入は可能(例外もあるみたいだけど)。多くの場合、名前の最初の方が「全国」とか「首都圏」とか「東京」とか「統一」とか「一般」とかで、名前の最後は「労働組合」とか「ユニオン」とか。というわけで、私は、「なんちゃれユニオン」と呼ぶことにしてる。
  このような外部労組は、実は昔からあって、有名どころとは、私も何回も交渉していて、交渉担当者の「副委員長」とか「書記長」とか、まあそんなような肩書きのお偉い人達とは、すっかり顔なじみ(関係ないけど、左翼の皆さんって、どーして大層な肩書きがお好きなのかしら?)。団体交渉も、あーどーもご無沙汰、前、お会いした時のあの方、お元気ですか、その節はどーもお世話になりましてとか、そんな大人なご挨拶でスタートしたりする(こともある)。彼らは、もともと労働運動のプロで、交渉も熾烈になることが多いけど(成果を宣伝して組合員を勧誘しないといけないからね。組合費でメシを食ってるわけだから。)、組合員の労働者さんからしっかりと事情を聴いて、資料とかをばっちり確認した上で交渉の席にやって来るし、しかも法律のことも、労働関係の分野に限られるけど、裁判例やら学説やらまで、ホントによーくお勉強していて、レベルの高い論争をしてくる。感情的になったりすることもあるけど、それなりの戦略が感じられることが多い。私とは、基本的な考え方とかが、ぜーんぜん違うんだけど、まあ、それなりのレベルのネゴシエーターとして敬意を払わなきゃいけないねとは思う。
  でもね。最近、なんちゃれユニオンが、やたら増えてきた。
  もともと労働組合は、資格とか、試験とか、届出とか、認証とか、許可とか、何にも必要なくて、複数の労働者が組合を結成しようと約束するだけで結成できることになっている。なもので、ある日、ある勤め人が、どこかのよく知らない別の会社の左翼のオッサンと労働組合を作ろうと意気投合すれば、もう、なんちゃれユニオンの完成。特に最近は、不景気が長引いてるもんで、解雇されたりする労働者も多いから、この種の「貧困ビジネス」が花盛りだ。
  んで、みーんな、見よう見まねで、会社に対して「団体交渉の申入」ってのをやってきて、それで会社の方は私に依頼して、そんなわけで団体交渉ってのをやるんだけど(法律上、会社は、団体交渉を断ることができないのだ。)、にわか仕込みのなんちゃれユニオンの皆さんって、やたら低レベルで、何にも知らない。何にも分かってない。何にも準備してないし、何にも勉強してない。交渉してても、呆れてものも言えないほどなんだよね。要求書とかもらっても日本語がメチャクチャだし、その事件で当然に問題になるであろう裁判例とかもまったく知らないし、給与の額のことが問題になってる案件で、事前によこせというから就業規則や給与規定とかも差し上げていたのに何も読んでこないし、法律とかの議論は苦手なもんだから、「私のサラリーマンとしての経験上」とか、「社会の常識に照らして」とか、つまらないことを喚いて大声を出してみたりする。そんなの知らねーよ、アホ。一番ひどかったのは、私に向かって、「やりにくいから弁護士さん下りてくれないか」とか言い出した輩もいて、なんで、あんたらのやり易いように気を遣わないといけないんだよ、この大馬鹿者。
 交渉の場に大勢で押しかけてきたり、要求が通らないと会社の前でビラをまいたり、そういうことはちゃんとやるから、交渉を弁護士に依頼しないで、小さな会社の社長さんとかが自分で頑張ってみると、やっぱりプレッシャー感じて、要求を受け入れちゃったりするのかな。それで朝日新聞あたりがいつもの低能っぷりを発揮して、思い切り誉め称えたりして、そんな成功体験があるから、連中って、何にもモノを知らないまま平気でいられるんだろうけど、しかし、それにしても途方もなくレベルが低すぎて、開いた口がふさがらないというか、それこそ脱力するその力もわかないほどという方々が少なくない。
 別に、労働組合とかの存在意義とかを否定するわけじゃないし、さっきも書いたけど、尊敬に値すると思う組合活動家だっている。 でもね、労働者の権利をちゃんと守れないようなレベルのなんちゃれユニオンに加入した労働者さんこそ可哀想で、他人の権利を預かって交渉とかする以上、もう少し真面目に取り組んでいただけないものかねえと思いながら、そういえば、この国では、労働組合を支持母体とする政党が政権をとったらしく、私の鬱々とした気分は収まりそうもない。
 やれやれ。
(2009.9.28)
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