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ゴルフ場問題Q&A
(「ゴルフ会員権法律相談」ゴルフワールド)

弁護士 宮本 督

Q20 償還ビジネスと弁護士法

当ゴルフ場の会員権を買い取ったとして、預託金の返還を請求してくる会社があります。ゴルフ場の経営が大変厳しい中で、会員権を市場で安く購入して、高額の預託金の返還を請求するようなことは許されるのでしょうか。

A

 弁護士法七三条は、業として(反復継続する意思をもって)他人の権利を譲り受けその権利の実行してはならないと規定していて、これらに違反する行為には法律上の効力はない(無効)と考えられています。したがって、問題の会社が業として貴ゴルフ場の会員権を購入し預託金の返還を請求しているなら、このような行為は弁護士法七三条に違反するものですので、請求を拒めることになります。
 しかし、弁護士法七三条は、弁護士でない者が、権利の譲渡を受けることによって、みだりに訴訟を誘発したりすることを防止するための規定です。そうすると、形式的には、他人の権利を譲り受けて訴訟等の手段によってその権利の実行をすることを業とする行為でも、このような弊害が生ずるおそれがなく、社会的経済的に正当な業務と認められる場合には、弁護士法七三条に違反するものではないと解されています(最高裁平成一四年一月二二日判決)。
 したがって、ゴルフ会員権市場から通常の方法と価格で会員権を購入した上でゴルフ場に対して社会通念上相当な方法で預託金の返還を求める行為は、その会社の業務内容や業務の実態によっては弁護士法七三条に違反しないと解される場合もあることになりますので、注意が必要です。